千利休生誕の地である堺に、大坂屋敷に実在した、利休の茶室のなかでも、特に後世に影響を与えたという「御成の茶室」を四世紀ぶりに復元いたしました。
利休自身が愛した「御成の茶室」こそ「もてなし」の原点。 430年の時を経て蘇った幻の茶室「朝雲庵」。
「夏はいかにも涼しきように、冬はいかにもあたたかなるように、炭は湯の沸くように、茶は服のよきように、これにて秘事はすみ候」。千利休が伝える茶の湯の極意。 ことさら華美絢爛なしつらえを行わず、自分を飾ることなく、何よりも相手を思いやることに心を尽くす。堺に生まれ後に天下へ名を馳せた茶聖は、余計なものをすべて削り落とす侘びの精神にこそ、おもてなしの真髄が宿るとしたのです。 こうした哲学は利休の手による茶室、中でも大坂屋敷の一角に設けられた「深三畳台目茶室」に、色濃く凝縮されています。 わずか二畳の茶室をはじめ、斬新な発想で茶の湯に革新を起こしてきた利休。中でも「幻の茶室」として知られ、利休自身がもっとも愛したと伝えられる大坂屋敷の茶室は、「点前座を隠す」という大胆な意匠が取り入れられています。点前をする亭主の向かって右側は袖壁と柱によって覆われ、亭主の所作はもちろん水指など置き合わせの道具も、お客様から一切見えません。これこそ、利休が求めた侘び茶の極致。茶の席においてお客様が中心であることをより際立たせるため、点前や道具さえ目立たないよう配慮したのです。 その様子はあたかも、別室に一歩下がって点前をしているかのように見えます。まさに、利休ならではの謙虚な心配りそのものが間取りの設計となって表れています。 秀吉を招く事を前提としてつくられたといわれる、大坂屋敷の深三畳台目茶室。貴人を招待するにあたり、どこまでもお客様を尊重する工夫として考えられた「見せない」演出は、還暦を迎え茶人として円熟した利休だからこそたどり着けた「究極のおもてなしの形」なのでしょう。
江久庵は、こうした利休の精神に敬意を表すと同時に、自らをより高めていくことを誓い大坂屋敷の深三畳台目茶室を「朝雲庵」として復元。中村昌生氏(京都工芸繊維大学名誉教授/当時)の監修により、利休の弟子・山上宗二が書き残した間取り図および当時の資料から、430年の時を超えて忠実に甦らせることができました。 凝縮された利休の思想。おもてなしの粋を心ゆくまでご堪能ください。千利休
ご利用案内
営業時間 | 午前9:00~午後6:30 |
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定休日 | 毎週木曜日(祝日を除く) |
電話番号 | 072-222-2411 |
茶室の利用をご希望の方は事前に左記電話番号までご予約ください。